2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780077
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
郷田 秀一郎 Nagasaki University, 工学部, 准教授 (00346587)
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Keywords | タンパク質 / 構造変化 / レクチン / 溶血性 / X線小角散乱 |
Research Abstract |
海産無脊椎動物グミ(Cucumaria echinata)は溶血性レクチンCEL-IIIを持つ。CEL-IIIはガラクトース及びN-アセチルガラクトサミン特異性を示す、カルシウム結合型レクチンである。赤血球表面の糖鎖を認識し、膜状で多量体化し、孔を形成することによって溶血性を示すのではないかと報告されている。すでに研究代表者の所属する研究室にて単量体で存在しているときの立体構造が明らかとされており、糖結合に寄与するドメイン1及び2と、多量体化に関与すると考えられるドメイン3から成り立っている。しかしながら、多量体形成した際の立体構造及びその形成機構は不明である。溶液状態での立体構造及び構造変化の解明のため、X線小角散乱測定(SAXS)を行った。 すでに報告されている人工的な溶液条件下での多量体化を行い、前年度の研究成果より界面活性剤存在下で、孔を形成する最小単位と考えられている約六量体に解離することを明らかにしていることから、同条件下での静的な測定を行った。膜環境により近づけるため、コレステロール共存下での測定も行い、モデル構造の計算を行ったが、有意な構造モデルを得ることはできなかった。 多量体化における構造変化を解明するために、時分割SAXS測定を行った。人工多量体化条件のうち、pH条件を検討することによってSAXS測定に適している約20分で多量体化する条件を見出した。2分間ずつの測定を20分間ずつ続けて行い、多量体化における分子量及び回転半径変化を測定した。その結果、経時的な分子量と回転半径の増加が観察された。その曲線は単量体と多量体の二状態の変化として解析した曲線によく一致しており、溶液中での多量体化は二状態変化で起こっていることが強く示唆された。
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