2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780080
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 宏和 The Institute of Physical and Chemical Research, 長田抗生物質研究室, 基礎科学特別研究員 (80462696)
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Keywords | 放線菌 / DNA制限修飾 / 形質転換 / 形質転換 / メチラーゼ / Streptomyces griseus |
Research Abstract |
放線菌は抗生物質や生理活性物質などといった有用物質を生産する. それら有用物質の高度生産や誘導体の創出において, 放線菌の遺伝子工学技術は極めて重要な役割を果たしているが, 放線菌の中には基本的な形質転換ですら困難なものが見出される. 本研究では, そのような難形質転換性の主な原因として, 放線菌のDNA制限修飾に注目した. 本年度は, Streptomyces griseusを実験対象とし, そのDNA制限修飾系を解析した. 得られた研究成果を以下にまとめる. 1S.grisuesのDNAは, 5-メチルシトシンを含むことを明らかにした. 本結果はS. griseusがII/III型制限修飾系をもつことを暗示する. 2S.grisuesのDNAがシトシン5-メチル化を受ける保存配列を明らかにした. 本配列は以下2つの配列である : GCcGGCおよびGAGcTC. なおメチル化サイトを小文字cで表記した. 3GCcGGCおよびGAGcTC配列のメチル化に関わる酵素遺伝子を明らかにした. 4DNA制限修飾およびDNAメチル化に関わる全ての遺伝子を欠損した大腸菌株を作製した. 5得られた大腸菌に, GCcGGCおよびGAGcTC配列のメチル化酵素遺伝子を移植した. 本大腸菌株から回収したプラスミドDNAは, S. griseusに極めて容易に導入できた. 以上の結果は, 研究対象とする放線菌のDNA制限修飾系の解析が, その放線菌の形質転換を容易にする可能性を示している. 様々な放線菌の制限修飾系を広く解析し, データベース化することは, 放線菌の遺伝子工学技術の基盤として有用かもしれない.
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