2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 憲典 The University of Tokyo, 生物生産工学研究センター, 助教 (20312241)
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Keywords | イネ / ジャスモン酸 / シグナル伝達 / 病害抵抗性 / ファイトアレキシン |
Research Abstract |
●OsCOI1遺伝子群の完全抑制株の作製 20年度はOsCOI1a, OsCOI1bの二重抑制株を作製し解析を行った。その結果RERJ1などのジャスモン酸応答性遺伝子の発現誘導が抑制されること、フラボノイド型ファイトアレキシンであるサクラネチンの生産が抑えられること、また種子の稔性が低下するなどの表現型が観察され、イネにおいて2種のOsCOI1遺伝子がジャスモン酸シグナル伝達系で機能することを強く示唆することができた。 ●OsMYC2 Tos17挿入変異体の解析 ジャスモン酸シグナル伝達経路下流で働く転写因子として知られるMYC2についても、そのホモログと考えられるOsMYC2の解析をイネTos17挿入変異体を用いて開始した。20年度は、実際にOsMYC2遺伝子の3'-非翻訳領域にTos17断片の挿入を確認し、ホモ接合体の単離まで行った。今後はOsMYC2の発現抑制を確認した後に、この転写因子により制御される下流応答性遺伝子の特定を進める。 ●イネ出穂時におけるジャスモン酸の消長およびシグナル伝達分子の形態形成への寄与の解析 20年度の研究で、OsCOI1のmRNA発現レベルは、イネの生長課程で出穂過程の穂では高く、開花後に減少することが明らかになった。また、OsCOI1抑制株を含めた全てのジャスモン酸変異体は、種子を包み込む外頴・内頴(後にモミガラになる部分)が早い時期から開く表現型(open-husk phenotype)を示すことも明らかになっている。今後は出穂時期の器官を時期別にサンプリングし、ジャスモン酸量とOsCOI1発現量の変化を調べると共に、ジャスモン酸処理により誘導を受け、モミに多く含まれるファイトアレキシンのモミラクトン蓄積との関わりを追求する。
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