2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 憲典 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (20312241)
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Keywords | イネ / ジャスモン酸 / シグナル伝達 / 病害抵抗性 / ファイトアレキシン |
Research Abstract |
単子葉類イネの病害抵抗性発現におけるJAシグナル伝達機構の役割については、抗菌性化合物であるファイトアレキシンの生産や病害応答性遺伝子の発現に対する影響など、未解明の部分が多く残されていた。そこで本研究では、JAシグナル伝達の活性分子であるジャスモノイルイソロイシン(JA-Ile)の受容体構成因子として重要な機能を果たしていると考えられるイネCOI1ホモログの機能解析を行った。 まず、OsCOI1a,b二重発現抑制株、OsCOI1a,b,c,三重抑制株の作製と表現型の解析を行った。OsCOI1a,b発現抑制株においては、シロイヌナズナcoi1変異株と同様の稔性の低下が観察され、JA欠損株cpm1と同様の幼葉鞘の徒長が観察された。一方、傷害処理時におけるJAおよびJA-Ileの蓄積量、JA応答性遺伝子の発現レベル、JA処理時におけるファイトアレキシン蓄積量は顕著な変化を受けないことが明らかとなった。 次に、OsCOI1a,b,c,それぞれについて過剰発現株の作製を行い、培養細胞におけるファイトアレキシン生産誘導などの表現型の解析を行った。キチンエリシター処理した培養細胞におけるファイトアレキシン蓄積量を測定したところ、OsCOI1a,b,c,それぞれの過剰発現株において蓄積量が増加する傾向が観察された。このことから、COI1が過剰に存在することでJA感受性に影響を与えていると考え、野生型株においてはファイトアレキシンの生産が誘導されない0.1mMのJA処理を行った。その結果、OsCOI1a,b,c,それぞれの過剰発現株において、野生型株と比較して顕著にファイトアレキシンの蓄積が起こることを明らかにした。これらの結果は、OsCOI1がJAシグナル伝達経路において重要な働きを持つことを示し、そのシグナル伝達の下流において、病害抵抗性発現の一つであるファイトアレキシンの誘導的生産が引き起こされていることを示唆するものである。
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