2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780086
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
清水 伸泰 Kyoto Gakuen University, バイオ環境学部, 講師 (30434658)
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Keywords | 化学生態学 / 有機化学 / 化学合成 |
Research Abstract |
大学敷地内の各所土壌からササラダニ類を分離し、GC/MSにより分泌化合物の構造解析を行った。その結果、矢毒蛙アルカロイド類縁体を産生していると推定できる未同定ダニを数種発見した。ササラダニから検出できるアルカロイドは微量で、各種分析機器を利用した構造解析が困難である。そこで、これまで報告されている脂溶性矢毒蛙アルカロイドのGC/MSスペクトルデータを可能な限り収集した。これらとササラダニから検出したアルカロイドのマススペクトルデータとを比較することにより、アルカロイドの基本骨格および官能基を推定した。それらの中で、これまで報告のない新奇骨格をもっと考えられるアルカロイドについては、NMRおよびIRスペクトルを測定できる量が必要となる。そこで、ササラダニの安定した繁殖を可能にする飼育条件を検討した。餌としてクロレラあるいは乾燥酵母を一定湿度条件で与えた場合、飼育は可能であったが繁殖速度を上げることはできなかった。そこで、野外でのササラダニ類の生育環境を精査して最適な飼育条件を確立し、増殖率を高める人工飼料の開発を進めている。また、ササラダニ類タテイレコダニ科ダニ約10種の共通成分としてイリドジアールを検出した。まず、ラセミ体の化学合成により平面構造を決定した。現在、絶対立体構造を決定する目的で、エナンチオ選択的合成法を検討している。本化合物はこれまで昆虫の防御物質としての報告がある。反応性の高いジアール構造を有することから、本科ダニの防御物質あるいは何らかの情報化学物質としての機能を推測している。そこで、土壌中の生物に対する忌避活性およびフェロモン活性などを定量的に評価する予定である。
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