2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内局在型水チャネルの消化器官における生理機能の解析
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20780090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 晋治 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50376563)
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Keywords | アクアポリン / 水チャネル / 嚢胞症 / 組織化学 / 小胞体ストレス / 細胞増殖 / アポトーシス / AQP11 |
Research Abstract |
昨年度は、細胞内局在型水チャネルであるアクアポリン11(AQP11)について、その欠損マウスの腎臓における嚢胞形成機構の一端を解明した。本年度は、消化管を含め、腎臓以外でのAQP11の生理機能を考察するために、AQP11欠損マウスの胃、小腸、肝臓、脾臓の表現型の解析を行った。腎臓においては顕著に嚢胞が形成されている3週齢のAQP11欠損マウスの胃、小腸、肝臓、脾臓に対し、ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、組織、細胞形態について観察を行ったところ、これらの組織においては野生型マウスとAQP11欠損マウスの間には違いは見られなかった。次に、Hspa5(Gpr78)を分子マーカーに用いて、これらの組織における小胞体ストレス誘導の観察を行った。腎臓では、欠損マウスにおいて、1週齢と同様に嚢胞周辺の細胞内に空胞を有する細胞で小胞体ストレスの顕著な誘導が観察された。一方、その他の組織においては野生型マウスとの間に差異は見出されなかった。抗Ki-67 antigen抗体を用いた免疫組織染色によって、細胞増殖についても観察を行った。その結果、やはり腎臓以外の組織においては野生型マウスと欠損マウスとの間に違いはみられなかった。また、抗cleaced caspase-3抗体を用いた免疫組織染色によって、アポトーシス細胞の頻度についても解析を行ったが、同様に腎臓以外の組織においては野生型マウスと欠損マウスとの間に違いはみられなかった。以上の結果から、組織・細胞形態、小胞体ストレス誘導、細胞増殖、アポトーシスのいずれにおいても胃、小腸、肝臓、脾臓でAQP11欠損の影響がみられないことが明らかになった。このことから、AQP11が腎臓とそれ以外の組織とで異なる生理的役割を担っていることが示唆された。
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