2008 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞機能に着目した食品アレルギーの発症機構の解明と新規予防法の確立
Project/Area Number |
20780092
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
好田 正 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (20302911)
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Keywords | アレルギー / IgE / 親和性 / B細胞 / 抗原アナログ / 抗原構造 / 個人差 |
Research Abstract |
本研究では, B細胞抗原レセプター(BCR)との親和性の異なる抗原でB細胞を刺激することによるB細胞の応答性の変化を解析し, これをもとにB細胞の機能を任意に制御する方法を確立することを目的とする. 本年度は以下の3点について研究を行った. 1) 本研究ではB細胞を刺激するタンパク質としてβ-ラクトグロブリン (β-LG) および卵白リゾチームを用いる. まず, β-LGにカルボキシメチルデキストランを水溶性カルボジイミドを用いて付加した. 次に, 卵白リゾチームを還元およびカルボキシメチル化した. これにより, タンパク質の構造を改変しBCRに対する親和性を変化させたアナログ抗原を作出した. 2) 上記1で得られたカルボキシメチル化β-LGおよび天然型β-LGを用いて, BALB/cマウスを免疫した. 免疫後2, 4, 6週目に採血を行い, 血清中の抗原特異的IgEおよびIgG1抗体価を測定した. その結果, カルボキシメチル化β-LGは天然型と比較して, 強いIgG1産生を誘導した. 一方でIgE産生誘導は弱かった. この結果は抗原構造の変化が誘導する抗体のクラスに影響を与えたことを示唆している. さらに, それぞれのタンパク質を免疫したマウスの血清より抗原特異的なIgM抗体を精製し, 天然型と修飾タンパク質に対する親和性を測定した. その結果, 抗原と親和性の高いIgMを発現するB細胞はIgEを, 親和性の低いIgMを発現するB細胞はIgG1を産生しやすい可能性が示唆された. 3) 天然型β-LGを用いてBALB/cマウスを免疫した. 免疫後3日目に脾臓細胞を採取し, ハイブリドーマを作成した. 限界希釈の後, IgG1およびIgEを産生するそれぞれ4および3株のモノクローナル抗体を得た. これらの抗体とβ-LGとの親和性を測定した結果, IgEはIgG1よりも抗原に対する親和性が高かった. この結果は, 上記2の仮説を強く支持するものであった.
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