2008 Fiscal Year Annual Research Report
高脂肪食誘発性の脂質・糖代謝異常に多面的に作用する疾患遺伝子の同定
Project/Area Number |
20780093
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 美里 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 助教 (20456586)
|
Keywords | 脂肪肝 / 糖代謝 / コンソミック / 耐糖能 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
近年の日本国民の環境因子(食事因子)の変化が肥満、脂質異常症、2型糖尿病患者の増加をもたらしていると考えられる。それゆえに、高脂肪食摂取のような食事条件の下で、複数の代謝性疾患を引き起こす多面的作用を持つ遺伝子の解明が求められる。本研究では、遺伝解析に極めて有用な染色体置換(コンソミック)マウスを用いて食事条件によって変動する肥満度、血中脂質レベル、血糖値を包括的に解析し、肥満、脂質異常症、糖尿病をそれぞれ単独に、あるいは多面的に誘発する疾患感受性遺伝子を同定することを目的とした。コンソミックマウスは背景系統であるA/Jマウスと特定の染色体のみが異なるため、簡単に表現型を規定する責任遺伝子の存在領域を決めることができる優れた系統である。 まず、第12番コンソミックマウスと対照のA/Jマウスを通常食と高脂肪食にて10週間飼育したところ、通常食群では両系統の表現型に差が見られなかった。しかし、高脂肪食の摂取下においては、コンソミックマウスでは肥満の抑制、耐糖能の改善傾向、肝臓脂質蓄積の抑制が観察された。この結果より、高脂肪食誘発性の肥満、2型糖尿病、脂質代謝異常に関与する遺伝子の存在をマウス第12番染色体上に確認した。また、これらの表現型が肥満形質によって引き起こされる2次的な影響か否かを検討するために、次に短期間での実験を行った。その結果、肥満とは独立して脂質代謝に影響を与える遺伝子の存在が示唆された。この責任遺伝子を同定することで、高脂肪食摂取によって引き起こされる脂質代謝異常の新たなメカニズムの解明と予防・治療への貢献を目指す。
|