2009 Fiscal Year Annual Research Report
高脂肪食誘発性の脂質・糖代謝異常に多面的に作用する疾患遺伝子の同定
Project/Area Number |
20780093
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 美里 Nagoya University, 生命農学研究科, 助教 (20456586)
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Keywords | 脂肪肝 / 血中インスリン / QTL / 遺伝解析 / コンソミック / 高脂肪食 |
Research Abstract |
遺伝子解析に極めて有用な染色体置換(コンソミック)マウスを用いて、食事条件によって変動する肥満度、血中脂質、血糖値を包括的に解析し、肥満、脂質異常症、糖尿病をそれぞれ単独に、あるいは多面的に誘発する疾患感受性遺伝子を同定することを目的とした。 平成20年度に対照系統であるA/Jマウスの第11,12,17番染色体をそれぞれSM/J系統に置換したコンソミックマウスに高脂肪食、通常食を摂取させた結果、第12番染色体に肝臓への脂肪蓄積、糖代謝に影響を与える遺伝子座の存在が示唆された。そこで、本年度は高脂肪食の摂取により最も顕著な差が見られた第12番染色体について注目した。 12番染色体コンソミックマウスと対照系統のA/Jマウスを7週間高脂肪食で飼育し、その表現型を比較検討した結果、12番コンソミックでは、肝臓への脂質蓄積の有意な抑制および血中インスリン濃度の有意な低下が観察された。また、この2系統のマウスの肝臓を用いた遺伝子発現変化を網羅的な解析(DNAマイクロアレイ解析)を行ったところ、第12番染色体上の遺伝子の中に2系統間で変動する遺伝子が3つ検出された。これらの遺伝子の発現量をReal-time PCR法にて検証した結果、1つの遺伝子でのみ12番コンソミックマウスでの発現上昇が観察された。 第12番コンソミックマウスを用いた本研究から、高脂肪食に対する脂肪肝の感受性および血中インスリン濃度を決定する遺伝子が第12番染色体上に存在することが明らかとなり、その候補遺伝子として1つの遺伝子が考えられた。
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