2008 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン系の新機能と食品由来ペプチドによるその制御
Project/Area Number |
20780095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 優子 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (70432341)
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Keywords | 食品 / 生理活性 / アンジオテンシン系 / novokinin |
Research Abstract |
申請者らはangiotensin AT2受容体のアゴニストペプチドnovokininがAT2受容体を介して血圧降下、摂食抑制、脱毛抑制、そして新たに抗鎮痛作用を示すことを見出している。抗鎮痛作用はAT2受容体及びその下流においてプロスタグランジン(PG)E2およびEP3受容体を介している。本研究において、angiotensin IIそのものも抗鎮痛作用を示し、その作用機構がnovokinin同様AT2受容体の下流でPGE2およびEP3レセプターを介することを新たに見出した。選択的AT2アゴニストである[p-NH2Phe6]-angiotensin IIが同様の経路で抗鎮痛作用を示したことも、novokininを用いて見出したAT2受容体を介した抗鎮痛作用と作用機構が一般性を有することを支持するものである。また、novokininの2型糖尿病モデルマウスへの長期経口投与により血糖値上昇抑制作用があることが分かっているが、この際、血中adiponectin量および腸間膜脂肪のPPARγ発現量が増加していた。そこで本課題ではこの作用におけるAT2受容体の関与を明確にするために、脂肪細胞への分化モデルである3T3-L1細胞を用いた。培地にnovokininを添加し、3T3-L1細胞を培養したところ、PPARγ、adiponectinのmRNA発現量が上昇した。しかし、この作用は、AT2受容体を介していないことがアンタゴニストを用いた実験により判明した。novokininの抗糖尿病作用において直接作用する受容体を明らかにすることは今後の課題である。microarrayにより求めた遺伝子発現量の増減もRT-PCRの結果とほぼ一致していた。今回腸間膜脂肪と3T3-L1細胞の遺伝子発現変化が類似したパターンを示したことから腸間膜脂肪を反映したモデルとしての3T3-L1細胞の利用可能性が示唆されたと言える。
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