2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780096
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西谷 洋輔 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 助教 (80457093)
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Keywords | 腸内細菌 / 脂質代謝 / 腸管免疫 |
Research Abstract |
生体内ではさまざまな脂質が代謝され、生理活性物質として作用することが知られている。近年、アラキドン酸は従来知られているphosphohpase A_2やcyclooxygenaseなどにより急性炎症時に産生されるprostaglandinなどのエイコサノイドに変換されるだけでなく、lipoxygenaseやcyclooxygenaseにより急性炎症の回復期に産生される代謝産物であるlipoxin(LXs)が特異的な受容体を介して抗炎症作用、免疫制御作用を持つことが明らかにされた。また同様の経路により、魚油などに多量に含まれるeicosapentaenoic acid(EPA)よりresolvin(RvE1)が産生され、その特異的受容体を介して炎症を制御することも明らかにされている。一方、腸内細菌は400種以上、約100兆個、大腸では糞便1グラムあたり1,000億個存在することが知られている。これらの腸内細菌の持つさまざまな酵素により、生体内の脂質が分解され、その由来産物がホストの生体内で生理活性を示すことで免疫系を中心としてさまざまな作用をおよぼすことが想定される。そこで本研究では、腸内細菌の産生する酵素による脂質の分解産物を網羅的に解析し、その中で新たな脂質由来の生理活性物質を同定して、その生物学的作用を腸管免疫制御という点から明らかにすることを目的としている。本年度は、まず脂質代謝酵素のPositive controlとして、bacterial P450のリコンビナント酵素を作製中である。既にP450活性が論文報告されているB.megaterium、B.subtilisより、P450遺伝子を特異的プライマーを用いてPCR増幅した。PCR産物をpGEX4T-1ベクターにサブクローニングし、大腸菌での発現を試みている。発現が確認されれば、GSTタグに対するアフィニティーカラムを用いて精製する予定である。また、ヒト腸内細菌のメタデータよりcytochrome P450、lipoxygenase、cyclooxygenaseと相同性の高い遺伝子を抽出した。今後は、これらの遺伝子を実際にヒト便サンプルより抽出したDNAからクローニングし、大腸菌で発現・精製し、脂質代謝活性を調べる。それと同時に、これらの遺伝子をもつ細菌を特定する。
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