2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大貫 宏一郎 Kyushu University, ユーザーサイエンス機構, 特任准教授 (50378668)
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Keywords | 精神機能 / 機能性食品 / 動物行動 / 神経新生 / VEGF / ペプチド / 生理心理 |
Research Abstract |
本研究は、精神機能に影響を与える機能性食品成分などをスクリーニングする総合的な実験システムを構築することを目的としている。その目的を達成するため、マウスの行動テストバッテリーを用いて、一般食品やその中に含まれる新規物質が精神に与える影響を探索し、その成果をヒトで検証することを試みている。本年度は、食品成分の標的となる遺伝子を発見し、鬱や不安傾向を低下させる食品由来ペプチドの効果を動物行動でスクリーニングすることができた。 血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor、以下VEGFと略)を脳内に過剰発現したマウスの行動を解析したところ、鬱や不安行動が顕著に減少し、神経新生が向上するという結果を見いだした。この結果により、精神機能に影響を与える食品の標的遺伝子として、VEGFが有効であることが示唆された。また、コラーゲンを特定の酵素で分解したペプチドを継続的に摂取したマウスの行動を、同量のタンパク質を摂取したマウスと比較したところ、鬱や不安傾向が低下して、脳重量の増加や神経新生の促進が観察された。以上の結果より、精神機能に影響を与える食品の特性として、神経新生が重要な役割を果たしていることが考えられ、その機能性を動物行動でスクリーニングできることが示唆された。 以上の結果は、Journal of Neuroscienceに掲載され、特許申請も行った。また、ペプチドの効果については、現在論文を執筆中である。
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Research Products
(3 results)