2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖修飾したタンパク質を分離源としたバイオフィルム形成阻害ペプチドの探索と機能解析
Project/Area Number |
20780098
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野間 誠司 Kyushu University, 農学研究院, 助教 (40392071)
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Keywords | 食品 / バイオフィルム / メイラード反応 / 糖 / 細菌 |
Research Abstract |
バイオフィルムとは吸着担体上の微生物フィルムのことを指す。一旦形成されて成熟化してしまうと、洗浄・殺菌が困難になるため、食品衛生上その形成防止が重要となる。本研究では、メイラード反応により糖修飾した食品由来タンパク質を分離源として得た新規ペプチドの中からバイオフィルムの形成を阻害するペプチドを探索・特定し、その機能を解析することを目的としている。過去の検討により、ホエーにグルコースを付加した後にパパインで加水分解して得たペプチドプール郡から黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成を阻害するプールを得ている。そこで平成20年度は、この画分中からバイオフィルムの形成を阻害するペプチドを探索・特定することを目的とした。 まず当該活性を有するプールをC18カラム、C4カラムを用いた逆相クロマトグラフィーに供したが、カラムへの保持および分離が困難であった。また極性物質の分離を目的とした逆相カラムでも同様の結果であった。そこで、逆逆相カラムを用いることとし、分離条件を検討した。決定した分離条件において当該活性を有しない画分、活性を有する画分を分析したところ、活性を有する画分にのみ多く含まれているペプチドが存在した。そこで、このペプチドをESI-IT-MSにより分析した結果、m/z約500が得られた。ホエーの主要タンパク質であるβ-ラクトグロブリンおよびα-ラクトアルブミンのアミノ酸配列の中から、グルコースを除いた質量と一致する配列を検索した結果、候補ペプチドが見出された。これを固相合成後グルコースを付加したものについてバイオフィルム形成に及ぼす影響を調べた結果、バイオフィルム形成阻害活性が認められた。しかし、興味深いことにグルコースを付加していない場合にはバイオフィルム形成阻害活性はほとんど認められなかった。
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