2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780099
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
都築 毅 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 准教授 (00404848)
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Keywords | 共役脂肪酸 / 血管新生 / リノレン酸 / エレオステアリン酸 / 共役リノレン酸 / 共役リノール酸 / キリ / ニガウリ |
Research Abstract |
癌の発生と進展には、血管系がさまざまな形で密接に関係している。癌が増殖するときには、宿主から癌組織に向かう血管の新生が重要なステップになる。現在、癌治療の目的で血管新生を抑制する成分が注目されている。天然には様々な脂肪酸が存在する。分子内に共役二重結合を有する共役脂肪酸は、抗癌作用を始め様々な生理機能を持つことが報告されている。以前に、共役脂肪酸の血管新生抑制効果を検討し、共役脂肪酸が強い血管新生抑制効果を有することを世界で始めて明らかとした。しかし、この共役脂肪酸の血管新生作用メカニズムを明らかにしていない。そこで、天然由来の共役脂肪酸の血管新生抑制作用の作用機序を遺伝子発現レベルで究明することを目的に、研究内容をさらに深化発展させた。これまでの研究で、癌細胞を移植したヌードマウスに共役脂肪酸を経口投与すると、癌組織の著明な退縮作用をもたらすことを見出し、この癌組織退縮の機構として共役脂肪酸による血管新生阻害作用を明らかにしている。そこで平成21年度も平成20年度に引き続き、天然由来共役脂肪酸による血管新生の阻害メカニズムを培養細胞実験系で明確にした。共役脂肪酸の管腔形成阻害作用を確認し、さらに管腔形成時に観察される血管内皮細胞の増殖や遊走を共役脂肪酸が阻害することを確認した。そしてこれら共役脂肪酸の血管新生阻害作用の分子メカニズムを詳細に検討するために、共役脂肪酸を暴露した内皮細胞からmRNAを抽出・精製し、DNAチップにより血管新生の阻害メカニズムを評価した。得られた結果を解析し、定量RT-PCR法を用いて確認し、タンパク質量の変化をウエスタンブロット法にて分析した結果、PPARγが標的分子と決定された。よって共役脂肪酸の血管新生抑制カニズムはPPARγを介したものであることが明らかとなった。
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