2009 Fiscal Year Annual Research Report
トリプトファン代謝制御によるドーパミン機能調節に関する研究
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20780100
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
福渡 努 The University of Shiga Prefecture, 人間文化学部, 准教授 (50295630)
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Keywords | 神経伝達物質 / アミノ酸 / 脳機能 / 神経疾患 / 食事 |
Research Abstract |
必須アミノ酸トリプトファンの代謝産物キヌレン酸は脳内でニコチン作動性α7アセチルコリン受容体アゴニストとして作用することにより,神経伝達物質ドーパミン放出を抑制する.食事を介して脳内のキヌレン酸濃度を調節するができれば,ドーパミン放出を調節でき,パーキンソン病や統合失調症などの神経疾患を予防できる可能性がある.報告者はこれまでに,高トリプトファン食の摂取によってキヌレン酸産生量が増大し,高リシン食の摂取によってその増大を抑制できることを明らかにしてきた.さらに,キヌレン酸産生が増大する生理的状態は不明であったが,前年度の当該研究により,糖尿病がキヌレン酸の生合成を亢進したことを示唆する結果を得た.そこで,本年度は,糖尿病によるキヌレン酸産生の増大を高リシン食が抑制できるか否かについて検討した.ストレプトゾトシン誘発I型糖尿病ラットに1~3%リシン添加食を投与したところ,脳中キヌレン酸濃度はリシン摂取量依存的に低下し,ドーパミン代謝回転はリシン摂取量依存的に増大した.キヌレン酸前駆体であるキヌレニン濃度には変動が認められなかったことから,リシン代謝産物αアミノアジピン酸の産生増大がキヌレニンからキヌレン酸への生合成を抑制したことが示唆された.高リシン食によるキヌレン酸濃度上昇抑制とドーパミン放出増加を示す結果は,食事を介してキヌレン酸産生を調節することによってドーパミン放出を正常な範囲に調整できる可能性を示すものである.
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