2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780103
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
三嶋 智之 Gihu University of Medical Science, 保健科学部, 講師 (00434522)
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Keywords | 清酒濃縮物 / α-EG / 角層水分量 |
Research Abstract |
本研究の全体構想は、日本人にとって古くから関係の深い「清酒」の生理作用を明らかにしようとするものである。清酒はアルコール飲料としての嗜好品の役割だけでなく、様々な作用があるといわれており、エタノールの効果を主として様々な成分の生理効果が報告されている。申請者はこれまでに清酒に特異的に含まれるethylα-D-glucoside(α-EG)という配糖体について研究を行ってきた。本研究の全体的な目的は(1)α-EGの体内動態の検討、(2)清酒濃縮物による皮膚状態の改善作用、(3)α-EGの利尿作用による高尿酸血漿状態の改善効果について、これまでの研究結果を踏まえてさらに進展させる。本年度は(2)皮膚状態の改善作用について検討した。古くから清酒がスキンケアローションとして利用されており、実際これまでに清酒(濃縮物)あるいはα-EG塗布により皮膚の保湿性が高まったり、経皮水分蒸散量が減少するなど、肌に対する有効な作用の報告がされている。一方清酒の飲用により肌の保湿性が高められることについても期待されている。動物実験においては清酒が他のアルコール飲料に比べ、飲用後の経皮水分蒸散量が減少すると報告されている。本研究では同意の得られた被験者にエタノールを除去した清酒濃縮物を10g(清酒1.5合程度に相当)を単回飲用していただき、その後経時的に心電波形・心拍・酸素飽和度を2時間にわたりモニタリングしたが、目立った変化は認められなかった。血圧・手指表皮温度に関しては摂取の30分後までにわずかに上昇がみられたが、有意な変化ではなかった。また前腕部の角層水分量を測定したが、摂取の2時間後までに有意な変化は認められなかった。さらに、被験者6名に対し、7日間にわたり5gずつの清酒濃縮物摂取を行って頂いたが、角層水分量に有意な変化は認められなかった。現在、清酒濃縮物の皮膚への直接的な塗布による角層水分量への影響を調べている。
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