2008 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の病態発症における脂肪酸結合タンパク質の役割に関する研究
Project/Area Number |
20780104
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
楠堂 達也 Chubu University, 生命健康科学部, 助手 (00460535)
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Keywords | FABP3 / 脂肪酸結合タンパク質 / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
平成20年度研究実施計画に従い、培養細胞系を用いて脂肪酸結合タンパク質(FABP3)の1. 脂肪酸取り込み対する関与、2. 代謝系、核内受容体への影響、3. インスリン抵抗性への関与についての検討を行った。 1. 骨格筋における脂肪酸の取り込みへのFABP3の関与を調べるために、アデノウイルス発現系を用いてマウス筋芽細胞株であるC2C12細胞にFABP3を発現させ、蛍光ラベルした脂肪酸の取り込みについて検討した。その結果、FABP3の有無はC2C12細胞の脂肪酸の取り込みには影響を与えなかった。 2. FABP3の脂肪酸合成、脂肪酸酸化などの代謝系への影響について検討するために、C2C12細胞にFABP3を発現させ、リアルタイムPCRを用いて代謝関連遺伝子の発現量を検討した。また、FABP3の核内受容体調節作用を検討するために、培養液に核内受容体PPARα、PPARδ、PPARγ、のリガンドを添加し標的遺伝子の発現誘導に関して検討した。その結果、FABP3の発現は代謝関連遺伝子の発現、核内受容体の標的遺伝子の発現誘導に大きな影響を与えなかった。 3. FABP3のインスリン抵抗性への関与を検討した。分化させたC2C12細胞にパルミチン酸を添加しインスリン抵抗性を惹起した後、インスリン刺激を与え、インスリンシグナルに重要な働きをしているAktのリン酸化を検討した。その結果、FABP3の発現によってAktシグナルの回復が見られ、FABP3が骨格筋におけるインスリンシグナリングに関与している可能性が示唆された。 以上の研究より、FABP3は脂肪酸の取り込みや核内受容体PPARα、PPARδ、PPARγの作用には大きな影響を与えないが、インスリンシグナルに関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)