2009 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の病態発症における脂肪酸結合タンパク質の役割に関する研究
Project/Area Number |
20780104
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
楠堂 達也 Chubu University, 生命健康科学部, 助手 (00460535)
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Keywords | FABP3 / 脂肪酸結合タンパク質 / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
平成20年度の実験結果、21年度の研究計画に従い以下の研究を行った。 1.20年度の研究より、FABP3が骨格筋におけるインスリンシグナリングに関与していることが示唆された。そこで、FABP3のインスリンシグナルにおける作用メカニズムについて検討した。インスリンシグナルの関連分子に関してウエスタンブロッティングによって詳細に検討したところ、糖の輸送体であるGLUT4の機能発現に重要な役割を果たすAS160の発現量、リン酸化がFABP3の発現によって上昇することが示された。さらに、脂肪酸燃焼のキーファクターであるAMPKのリン酸化も有意に上昇していることが明らかとなった。 2.FABP3の機能について検討するために、実施計画に従いFABP3と相互作用する分子の探索を行った。FABP3固定化カラム、およびGST-融合タンパク質によるpull downアッセイにより、FABP3と相互作用するタンパク質を取得し、LC/MS/MSによって同定した。いくつかの分子の同定に成功したが、シグナル等に直接関与する分子を検出することはできなかった。 3.生活習慣病の病態発症におけるFABP3の機能を個体レベルで検討するために、FABP3発現アデノウイルスを動脈硬化のモデルマウスであるApoE欠損マウスの尾静脈よりインジェクションした。血中脂肪酸レベル、コレステロールに変化は認められなかったが、FABP3発現マウスは顕著な脂肪肝を示した。この結果よりFABP3は血中脂肪酸の取込みには直接関与していないことが示された。一方で細胞内の脂肪酸プールを上昇させることが示唆された。 以上の研究から、FABP3が骨格筋における糖取り込み、脂肪酸燃焼に関与していることが示された。これらはこれまでに報告のない新規の知見であり、FABP3が生活習慣病予防・治療のターゲットとなる可能性が示された。
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Research Products
(1 results)