2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780106
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
秦 勝志 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (10392375)
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Keywords | カルパイン / 胃粘膜防御 / カルパイン複合体 |
Research Abstract |
カルパインは、Ca^<2+>によって活性が制御される細胞内システインプロテアーゼで、哺乳類に15種類存在する。基質の限定分解による機能調節を通じて、個体発生から組織の恒常性維持まで重要な役割を果たす。生理機能の詳細は不明な点が多いが、これらの活性制御不全は脳神経・筋・代謝系など種々の病態の要因になることが明らかになっている。 その中で、二種類の胃腸特異的カルパインnCL-2(カルパイン8)とnCL-4(カルパイン9)は興味深いことに共に胃腸粘膜上皮の粘液分泌細胞に発現が限定する。この細胞は粘液を分泌し、外界から粘膜を保護することを主機能とする。胃粘液細胞の機能障害は萎縮性胃炎や胃ガンなどの胃疾患に関与することが報告されていることから、申請者は、nCL-2とnCL-4の機能と胃腸の病態への関与の可能性に着目し、各々のノックアウトマウス(以下、KOマウス)の解析を行った。その結果、アルコールの経口投与による胃粘膜傷害に対する感受性がどちらのKOマウスも野生型マウスに比べ有意に高いことを見出した。さらに、nCL-2とnCL-4が、(1)カルパインでは類を見ないハイブリッド型活性複合体(以下、nCL-2/4複合体)をin vivoで形成して安定化し機能すること、(2)nCL-2欠損がnCL-4の、nCL-4欠損がnCL-2のダウンレギュレーションとプロテアーゼ活性消失を伴うこと、即ちnCL-2とnCL-4が複合体シャペロンであることを明らかにした。nCL-2のプロテアーゼ活性のみを欠損させたノックインマウスもアルコール投与により上記KOマウスと同様の表現型を示したことから、少なくともnCL-2のプロテアーゼ活性は胃粘膜細胞機能に必須であることも明らかにした。以上の成果は学術論文に投稿し、現在審査中である。
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