2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 恵 The University of Tokyo, アジア生物資源環境研究センター, 特任研究員 (20436520)
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Keywords | 外来生物 / ニセアカシア / マイクロサテライトマーカー / 遺伝子流動 / 分布拡大 |
Research Abstract |
国内での分布拡大が問題視される外来樹種ニセアカシアに着目し、マイクロサテライトマーカーを用いた遺伝解析から、この種の分布拡大過程について推定した。 進入予防の基礎的知見として、種子による初期定着の過程を明らかにするため、日本全国のニセアカシア個体群と荒川の流域に生育する個体群を対象として、核・葉緑体マイクロサテライトマーカーを用いた集団遺伝解析を行った。日本全国、荒川流域共ではそれぞれ21、20の葉緑体ハプロタイプがみられ、核マクロサテライトから得られたヘテロ接合度の期待値は0.775と高い遺伝的多様性を示した。種子の移動を反映する葉緑体ハプロタイプの組成から、上流から下流への種子散布の可能性が示されたが、全国集団間、流域個体群間では在来種で報告されるような、近い個体群ほど遺伝的に似ているという地理的な遺伝構造はみられず、現在の遺伝構造には種苗の移動が強く影響していると考えられた。また、核マイクロサテライトマーカーの結果から、国内には少なくとも2個体群を起源とする種苗が持ち込まれたと考えられた。今後は更に、種苗や原産国のニセアカシアとの比較を行う予定である 更に、ニセアカシアの効率的な管理と利用の為に、ミツバチに付随する花粉DNAの特定から、ミツバチによる利用範囲の推定を試みた。開花の時期や蜂群問でミツバチは異なるニセアカシア個体を利用していることがわかった。また、同じ蜂群であっても、ミツバチ1個体が半径3km内に生育する様々なニセアカシアを利用していることがわかった。
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