2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 恵 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 特任研究員 (20436520)
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Keywords | 外来生物 / ニセアカシア / マイクロサテライトマーカー / 遺伝子流動 / 分布拡大 |
Research Abstract |
国内での分布拡大が問題視される外来樹種ニセアカシアに着目し、マイクロサテライトマーカーを用いた遺伝解析から、この種の分布拡大過程について推定した。 進入予防の基礎的知見として、種子による初期定着の過程を明らかにするため、日本全国のニセアカシア個体群を対象として、核・葉緑体マイクロサテライトマーカーを用いた集団遺伝解析を行った。日本国内のニセアカシアでは在来種で報告されるような、近い個体群ほど遺伝的に似ているという地理的な遺伝構造はみられず、現在の遺伝構造には種苗の移動が強く影響していると考えられた。そこで、現在植林用に生産されているニセアカシア種苗個体群の遺伝的特徴を調べ、これらの種苗がニセアカシアの遺伝構造に及ぼす影響について推察した。核マイクロサテライトマーカーを用いた結果から、種苗個体群は種子採取源である個体群の遺伝的多様性を反映した値を示すものの、葉緑体マイクロサテライトを用いて特定した葉緑体ハプロタイプ数は減少していることがわかった。極端な場合には1つの葉緑体ハプロタイプしか検出されなかった種苗個体群も存在し、ごく限られた母樹からの種子採取によって種苗集団が形成されている可能性が示された。このように遺伝的に偏った種苗が全国に植栽されることによって、地理的な傾向は見られず、それぞれの集団が遺伝的に特徴的であるというニセアカシア個体群の特異な遺伝構造が形成されるものと考えられる。
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