2008 Fiscal Year Annual Research Report
樹木成長におけるアルミニウムの有用性とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
20780114
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
富岡 利恵 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 助教 (40456588)
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Keywords | コナラ / アルミニウム / 窒素代謝 |
Research Abstract |
本研究はアルミニウムが植物の成長にとって重要なミネラルであることを明らかにすることを目的に、これまでの研究で明らかとなったアルミニウムによる根伸長促進メカニズムを解明するため、アルミニウム処理による窒素代謝の変化に着目し、研究を進めた。 材料にコナラの実生苗を用い、水耕栽培実験を行った。窒素代謝に関わる酵素の酵素活性測定法の確立を行った。作物種を材料にした既報の方法を参考に酵素活性測定法を試みたところ、樹木根の場合は作物の根とは大きく異なり、タンパク質の量が少ないことや、樹木特異的な酵素活性阻害分子が存在することが明らかとなった。緩衝溶液、プロテアーゼ阻害剤の検討、阻害物質除去方法、酵素タンパク精製の検討を行い、信頼度の高い方法を確立した。 アルミニウムを添加した培養液にコナラの根を暴露した。3、7、14日後に苗を回収し、根の硝酸還元酵素、亜硝酸還元酵素、グルタミン合成酵素活性を測定した。処理3日後から硝酸還元酵素活性は対照区よりも活性が高くなることが明らかとなった。亜硝酸還元酵素、グルタミン合成活性へのアルミニウムの影響は明瞭ではなかった。 21日間アルミニウム処理をした根の基質濃度の変化に対する硝酸還元酵素活性の変化を調べ、ミカエリス定数(Km),最大反応速度(Vmax)を求めた。その結果、アルミニウム処理によって、硝酸還元酵素のKm値の低下、Vmaxの増加が認められた。アルミニウム処理による硝酸還元酵素活性は、硝酸還元酵素と基質である硝酸との親和性の増加、阻害物質の減少なんらかのactivatorの増加、酵素タンパク質の増加が関係していることが示唆きれた。この結果を2009年7月にPlant Biology 2009で発表した。
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