2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本の地質条件が森林生態系の生物地球化学プロセスに与える影響
Project/Area Number |
20780115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 哲弘 Kyoto University, 地球環境学堂, 助教 (60456902)
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Keywords | 生物地球化学 / 土壌鉱物 / 森林生態系 / 地質 / 水資源 |
Research Abstract |
本研究は、多様な地質条件を有する日本の森林生態系を対象として、生物地球化学プロセスにおける土壌鉱物の機能-1)生態系への無機養分供給、2)二次鉱物の生成、3)水質形成-を、異なる地質間で比較評価し、森林生態系の適切な管理と利用に資する知見を獲得することを目的としている。 平成20年度の成果として、上記1)〜3)に関して以下ことを明らかにした。 1)土壌全元素組成を測定し、その組成が材料である岩石の組成を強く反映しており、酸性岩母材土壌ではKに富む一方MgやCaの量が少なく、塩基性岩母材土壌においてはKが少なくMgとCaに富んでいることを示した。また、土壌溶液組成および交換性陽イオン量も岩石の組成を反映し、同様の傾向があることを示した。 2)二次鉱物(粘土鉱物)組成を調べ、酸性岩母材土壌および堆積岩(頁岩)母材土壌においては、陽イオン交換能に大きく寄与するバーミキュライトが多く存在しており、一方塩基性母材土壌においてはその存在量が少ないことを示した。土壌溶液組成の解析より、酸性岩母材土壌および堆積岩(頁岩)母材土壌に含まれる雲母はいずれの土壌においても不安定であり、それが風化することでバーミキュライトが生成することを示した。 3)水質形成において二次鉱物の溶解反応およびその表面における各化学種の吸脱着反応は主要な過程である。これまでに土壌の鉱物性が、酸付加に対する応答と炭素蓄積に与える影響について解析した。酸付加に対しては活性Alの溶解が、炭素蓄積に対しては有機炭素の活性Al・Feへの吸着が主要な反応となっていること、また活性Al・Feの含量が火山灰母材土壌、塩基性母材土壌、酸性岩母材土壌の順に多いことを示した。
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Research Products
(5 results)