2009 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体的手法及び微生物生態学的手法の併用による土壌圏におけるメタン動態解析
Project/Area Number |
20780117
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 雅之 National Institute for Agro-Environmental Sciences, 物質循環研究領域, 農環研特別研究員 (70456820)
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Keywords | 温室効果ガス / メタン / 森林 / 湿地 / 生物地球化学 / 安定同位体 / 微生物群集解析 |
Research Abstract |
全国8県9地点の水田圃場においてメタンフラックス観測を行った。その際、日本の水田で慣行的に行われている中干しという水管理の期間や強度を変更することによるフラックスの変化について着目して観測を行った。9地点中8地点で中干期間の延長を行った栽培区で栽培期間中に放出されるメタンの量が慣行中干区で観測された期間メタン放出量に比べて削減され、慣行に比べて平均1.8倍の中干期間の延長でメタン放出が約26%削減される結果が得られた。この結果については国内外の学会で発表を行った。 さらに、各地点でのメタン放出量に大きな差が見られた。その要因を解析するために全ての地点から採取した土壌に存在するメタン生成細菌の微生物群集構造解析を行った。その結果、土壌型によりメタン生成細菌の群集構造はグループ分けできる可能性が示唆された。また同時に土壌の培養実験を行い、その際に放出されたメタンと二酸化炭素の安定同位体比からメタン生成経路の地点間の違いを検出した。結果としてメタン生成細菌の群集構造とメタン放出量や、安定同位体比から推定できるメタン生成経路との関連性は低いことが示唆された。現時点で得られた結果は、今後様々な土壌でのメタン放出に関する微生物群集の解析や、それらとメタンフラックスなどの関係を調査していく上で重要な情報になると考えられた。 また、森林の渓畔湿地で観測されたメタンの安定同位体と微生物群集構造の解析結果については、国際学会において発表を行った。
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Research Products
(5 results)