2008 Fiscal Year Annual Research Report
高精度な古植生復元のための針葉樹を主体とする気孔分析法の確立
Project/Area Number |
20780121
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
志知 幸治 Forestry and Forest Products Research Institute, 東北支所, 主任研究員 (10353715)
|
Keywords | 気孔分析 / 孔辺細胞 / 針葉樹 / 古植生 |
Research Abstract |
本研究は、土壌や湿原堆積物甲の気孔化石を調べる「気孔分析法」を日本にはじめて導入することにより、針葉樹古植生の高精度な復元を可能にしようとするものである。現存する日本産針葉樹の気孔識別マニュアルを、作成し、実際に日本国内の堆積物に気孔分折を適用することにより、気孔分析法の有効性について検証を行う。本年度は、日本において気孔分を進める際の基礎となる識別マニュアルを、作成るために、本所および東北支所樹木園から、外国産樹種を含む針葉樹48種の針葉を採取した。採取後に乾燥させた針葉は、乳鉢で粉砕した後に、花粉分析と同様に酸およびアルカリ処理を行い、最後にアセトリシス処理により孔辺細胞以外の植物質の分解を行った。これまでの顕微鏡による気孔形態の観察では、コメツガおよびツガ、ネズコ、ヒノキおよびサワラでは、孔辺細胞の外縁にそれぞれ、特徴的な数枚の副細胞がみられた。また、カラマツでは、上部の木質ラメラと呼ばれる部位の形状が特徴的であった。これらのことから、ツガ属、ネズコ属、ヒノキ属およびカラマツ属は、気孔形態から属レベルの同定ができることが示唆された。さらに、針の種類によって、孔辺細胞の大きさにかなりの違いがあることが観察されており、孔辺細胞の長軸および短軸の測定を行うことによって、さらにいくつかの分類、に区別できる可能性がある。今後これらの結果をまとめ、欧米における既往の研究結果と比較することにより、日本版の気孔識別マニュアルを完成せる必要がある。
|