2010 Fiscal Year Annual Research Report
難分解性有機物「リグニン」を指標とした、森林土壌における腐植生成プロセスの解析
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20780122
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
小野 賢二 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (30353634)
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Keywords | リター分解 / 有機物動態 / 固体^<13>C核磁気共鳴法 / 腐植化初期過程 / リグニン / 日本の森林 |
Research Abstract |
日本において、森林タイプ(林相)の違いによるリター分解に伴うリグニン動態の違いを定量及び定性的に解析した。その結果、日本の森林においては、気候条件や樹種の違いにかかわらず、落葉リターの分解速度は0.4±0.03年^<-1>であり、ほぼ一定の値を示したが、リグニンをはじめとする個々の有機物の分解速度は樹種によって大きく異なった。特にリグニンに由来する芳香族化合物および細胞膜成分に由来する脂肪族化合物の分解速度は強い樹種特異性を有していた。落葉広葉樹における脂肪族化合物の分解速度は0.28~0,34年^<-1>であり、常緑広葉樹や針葉樹より低い値を示した。これは初期含量や分解者による再合成、分解初期の溶脱プロセスなどの樹種間の違いを反映したと考えられる。広葉樹における芳香族化合物の分解速度は針葉樹よりわずかに高い値を示したが、おそらくこれは樹種によるシリンギルおよびグアイアシルリグニンの組成や縮合型タンニンの含有量を反映したのだろう。O-アルキル化合物の分解速度は0.44~0.57年^<-1>を示し、全樹種で他の成分に比べて最も高い値を示した。これは分解者によるホロセルロース成分の選択的な分解を反映した結果であろう。一方、カルボニル化合物は有機物成分の中で最も低い分解速度を示したが、これは有機物分解において起こる酸化分解反応によってカルボニル基が生成されたことに起因する。 以上の結果から、本研究は一見同じように見える落葉分解もその詳細なプロセスは樹種によって異なることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)