2010 Fiscal Year Annual Research Report
3次元土壌CO2ガス発生・移動シミュレーションモデルの開発
Project/Area Number |
20780123
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
橋本 昌司 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (90414490)
|
Keywords | 土壌圏科学 / 土壌呼吸 / ガス移動 / 土壌物理 |
Research Abstract |
研究の最終目標は、野外観測と3次元土壌CO_2ガス発生・移動シミュレーションモデルを通じて、土壌呼吸の地下過程を解明することにある。本研究の目的はそのうち、室内実験を通じて3次元土壌CO_2ガス動態シミュレーションモデルを作成することである。本年度は、3次元ガス拡散パルスシミュレーションによる土壌拡散係数の逆推定手法を考案した。内部からのCO_2の発生がない状態におけるガス拡散の3次元偏微分方程式の厳密解を、濃度Cを時間の変数tについて偏微分し、δC/δt=0として式を解くと、時間t、気相率a、ガス拡散係数Dの関係式が導ける。この式は、ある一定距離でガスパルスの濃度を測定し、その極大時間と気相率を測定することで、ガス拡散係数が測定可能であることを意味する。これはCO_2ガスが発生しない理想状態での理論値であるので、構築した3次元土壌CO_2ガス発生・移動シミュレーションモデルを用いて、CO_2ガス発生がある場合にこの理論式が成り立つのかを検証した。ガス発生強度が0.2,0.4mgCO_2m^<-3>s^<-1>の二つを仮定し、ガス発生から1000,3000,10000秒後にパルス測定をした場合に、理論値からどの程度極大時間がずれるかを調べた。結果、パルス発生源から5cmの距離で時間のずれは1秒以下であり、ガスパルス法での土壌ガス拡散係数測定手法はCO_2ガスの発生がある土壌においても適用可能であることが明らかとなった。このガス拡散係数逆推定法は、土壌サンプルを破壊的に採取することなく、野外において適応可能であり、波及効果は大きいと考えられる。
|