2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロマツの抵抗性がマツノザイセンチュウの病原力に及ぼす影響
Project/Area Number |
20780125
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
松永 孝治 Forestry and Forest Products Research Institute, 林木育種センター九州育種場, 研究員 (40415039)
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Keywords | 微生物 / 林学 / マツノザイセンチュウ |
Research Abstract |
現在,マツ材線虫病対策として抵抗性マツが植栽されているが,マツの抵抗性が上昇した場合に,病原生物であるマツノザイセンチュウの病原力が上昇するかどうか明らかにすることが本研究の目的である。これまでのマツ材線虫病に関する研究により,マツノザイセンチュウの病原力は遺伝形質であること,またその病原力には大きな変異があることが明らかになっている。これらの事実はマツノザイセンチュウがこれまでのマツより抵抗性の高いマツに感染すると,病原力に選択が働き,病原力が上昇する可能性を示唆している。抵抗性マツの植栽が行われる現在,マツノザイセンチュウの病原力上昇がおこるかどうかは,今後の防除対策・抵抗性育種戦略を構築するために早急に明らかにする必要がある。 本年度は抵抗性の異なるクロマツさし木苗および,クロマツ人工交配苗にマツノザイセンチュウを接種し,その枯損苗からマツノザイセンチュウを再分離しアイソレイトを確立した。また,来年度以降,選抜したマツノザイセンチュウアイソレイトの病原力を評価するためにクロマツの実生苗およびさし木苗を養成した。クロマツのさし木を行う際に,さし木苗の生産効率を改良するための知見を得たのでその内容を日本森林学会誌に発表した。 野外の抵抗性の異なる林分でマツノザイセンチュウの平均的な毒性が異なるかどうか明らかにするために,鹿児島県薩摩川内市に設定してある抵抗性マツの試験地内で発生したマツ枯死木から材片を収集し,マツノザイセンチュウを分離し,アイソレイトを確立した。また感受性の高いマツ林分からもマツノザイセンチュウを収集するため,熊本県天草市で空中散布等の防除により維持されていた非抵抗性のマツ林分の枯死木から材片を収集し,マツノザイセンチュウを分離し,アイソレイトを確立した。
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Research Products
(2 results)