2011 Fiscal Year Annual Research Report
クロマツの抵抗性がマツノザイセンチュウの病原力に及ぼす影響
Project/Area Number |
20780125
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
松永 孝治 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター・九州育種場, 主任研究員 (40415039)
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Keywords | 微生物 / 林学 / マツノザイセンチュウ |
Research Abstract |
現在,マツ材線虫病対策として抵抗性マツが植栽されているが,マツの抵抗性が上昇した場合に,病原生物であるマツノザイセンチュウの病原力が上昇するかどうか明らかにすることが本研究の目的である。本研究は大きく3つのステップ,(1)クロマツ苗木(さし木と人工交配実生家系)の抵抗性評価,(2)線虫の病原力の選抜実験,(3)野外の抵抗性マツ林分における線虫の病原力調査で構成される。 平成23年度は以下の研究を行った。(1)抵抗性クロマツおよびクロマツ精英樹に由来するF1、13個体および12個体をさし木増殖した2.5年生苗(各系統2~27本)に線虫アイソレイト島原を5000頭接種して枯死率を調査した。抵抗性および精英樹に由来する系統の枯死率はそれぞれ0.16と0.83であった。また,分散分析は枯死率が系統間で有意に異なることを示した。この結果はさし木増殖した苗木はそのさし穂を採集した母樹の抵抗性を受け継いでいることを示す。(2)線虫アイソレイト(島原・S10・T4・OKI69)を相対的に抵抗性の低いクロマツ人工交配家系K35(田辺54×大分8)と相対的に抵抗性の高い家系K39(田辺54×波方73)に接種し,その枯死苗から再分離した線虫アイソレイトを抵抗性クロマツ波方37open家系に接種した。K35とK39の苗から再分離したアイソレイトはそれぞれ58%と63%の苗を枯死させた。この結果は、線虫の病原力の選抜に用いたクロマツの抵抗性の違いは線虫の病原力の上昇に影響をしない場合があることを示唆する。(3)野外の抵抗性マツ林分における線虫の病原力を明らかにするため,熊本県水俣市の抵抗性マツ林分、山口県長門市の感受性林分でそれぞれ線虫を採集してアイソレイトを確立した。 これまでの研究成果の一部を九州森林研究に発表した。
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