2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780127
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
芦谷 竜矢 Yamagata University, 農学部, 准教授 (20423486)
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Keywords | 抽出成分 / テルペノイド |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き,カリオフィレン酸化物・硫化物の生理活性について,さらに詳細に検討した。試験条件が確立されているヤマトシロアリを用いた抗蟻活性試験を行ったところ,カリオフィレンには活性は確認できなかったが,酸化物・硫化物に抗蟻活性が確認された。さらに再実験を繰り返してデータの信頼性を確認したところ,酸化物(エポキサイド)よりも強い活性が対応する硫化物(エピスルフィド)にみられた。さらに木材腐朽菌に対する活性を検討したところ,酸化物・硫化物に抗菌活性が確認され,硫化物の活性の方が酸化物よりも強いことが示された。 また,ロンギホレンの自動酸化反応生成物を単離し,ヤマトシロアリおよび木材腐朽菌に対する活性試験を行った。ロンギホレンにおいても反応前の原料には活性は見られないが,酸化物には抗蟻,抗菌活性がみられた。特に,酸化物の中でもラクトン,アルコールに変換されたものの活性が強いことが示された。 カリオフィレン,ロンギホレンは歪みを有する独特の構造をしているが,強い抗害虫活性等を示すことは知られておらず樹木成分としての存在意義は不明であった。本研究により容易に自動酸化し,元の化合物に無い活性を有する生成物に変換できることが明らかとなり,これらの成分は,樹木の自己防衛物質の前駆体として存在している可能性が示唆された。 また化合物の藻類(赤潮藻類)に対する活性も検討した。その結果,ロンギホレンにのみ藻類の増殖抑制活性がみられた。この活性発現のメカニズムについてはさらに詳しい検討が必要であるが,植物に対してのアレロパシー活性が元の炭化水素セスキテルペンに示唆された。 尚,これらの成果は2009年8月開催の国際化学生態学会,同10月開催のアジア・太平洋国際化学生態学者会議,2010年3月開催の日本木材学会大会で発表した。さらに2010年7月開催予定の国際化学生態学会でも発表する予定である。
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