2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780129
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小西 照子 琉球大学, 農学部, 准教授 (30433098)
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Keywords | 細胞壁 / 多糖 / 酵素 / 植物 |
Research Abstract |
UDP-アラビノースムターゼ(UAM)は植物細胞壁糖鎖アラビナンの生合成に深く関わっている酵素である。ゲノム情報よりUAMの相同遺伝子はイネには3つ(OsUAM1~3)、シロイヌナズナには5つ(AtUAM 1~5)、微細藻類であるクラミドモナスには1つ(CrUAM1)存在することがわかっている。また、これまでの研究によりイネのUAMの相同遺伝子1~3つの酵素が複合体を形成していることが明らかとなっている。本年度では、相同遺伝子が1つのみ存在するクラミドモナスに着目し、研究を行った。TAP液体培地で培養したクラミドモナスから細胞質画分を回収し、UAMの精製について検討した。その結果、細胞質画分の0~40%飽和硫酸アンモニウム画分を疎水クロマトグラフィー(Butyl toyoperl 600)、ゲルろ過クロマトグラフィー(Superdex 200)に順次供し、UAMを最終的に約96倍にまで精製した。また、クラミドモナスUAMはそのアミノ酸配列より膜貫通ドメインを含まないことから、細胞質タンパクであることが推定されたが、膜画分にも活性が検出された。このことより、UAMは細胞質局在型および膜局在型の2つが存在することが明らかとなった。さらに、CrUAMの酵素カイネティクスを検討した結果、精製CrUAMは大腸菌由来の組換えCrUAMに比べて、kcatの値には大差は見られなかったのに対し、UDP-アラビノフラノースに対するKm値が非常に低かった。このことより、UAMは細胞内で基質に対する親和性を変化させることで酵素活性を制御していることが示唆された。酵素はリン酸化や糖鎖修飾によりその活性が制御されることが知られている。今後はUAMのリン酸化修飾や糖鎖修飾について検討を行っていく予定である。現在、本研究の成果を論文に投稿する準備をすすめている。
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Research Products
(2 results)