2009 Fiscal Year Annual Research Report
陸域起源物質が河口域の魚類生産に及ぼす影響:時空間変動の定量評価
Project/Area Number |
20780137
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小路 淳 Hiroshima University, 大学院・生物圈科学研究科, 准教授 (10397565)
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Keywords | 河口域 / 魚類 / 生産 / 季節変化 / 陸域起源物質 / 空間変化 |
Research Abstract |
人類は古くより河口・沿岸域を,生活の糧(魚介類)を得る場や憩いの場として利用してきた.水産生物の生産の場としての河口・沿岸城では,1.河川を通じた陸城からの栄養供給が多いため,沖合域に比べて生産力がきわめて高い,2.河川流量(主として降水量)と潮汐の変動により短い時間スケールで大きな環境変動(水温,塩分等)が生じるという特徴を備える.沿岸・河口域の高い生産力を有効かつ持続的に利用することは,人類が既に抱えている環境・食糧問題を解決する上でも極めて重要な要素であり,そのためには,沿岸・河口域における生物群集の主な構成要素である魚類の生産を支える仕組みを理解することが不可欠である. 2年目にあたる平成21年度には,河口域の優占種であるスズキの成長,生産に影響する環境要因の探索を目的として,耳石日周輪解析により求めたスズキ仔稚魚の日間成長速度と環境パラメータ(水温,塩分,餌料生物密度)の解析を行った.低水温期に河口域へと進入するスズキ仔稚魚の成長速度は,季節の進行および水温の上昇に伴って加速した.環境中の餌料生物密度の変動はスズキの摂餌指数(消化管内容物乾燥重量/体重)に影響を及ぼしたが,成長速度には影響を及ぼさなかったことから,河口内における成長,生残を左右する重要な要因であることが裏付けられた.魚類生産に影響する成長と死亡のうち,成長の変動過程に関する解析はかなり進んだことから,次年度は,死亡率の定量評価とその変動解析を実施する予定である.
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Research Products
(2 results)