2010 Fiscal Year Annual Research Report
一般魚類ではみられない、淡水カジカ類の異型精子の機能解明と精子保存への機能利用
Project/Area Number |
20780140
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
田原 大輔 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 講師 (20295538)
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Keywords | 淡水カジカ類 / 異型精子 / 精子凍結保存 / 人工授精 / 精子多型 |
Research Abstract |
両側回遊型または湖封型の淡水カジカ類(カジカ中卵型・小卵型・ウツセミカジカ)の正型精子は,環境水の浸透圧が0~200mOsm/kgで高い運動精子率を示し,淡水よりも少し高い浸透圧付近で精子運動性が高くなることが明らかとなった.これは,400~1000mOsm/kgで精子運動性が高い降河回遊型のアユカケの結果とは大きく異なった. 昨年度確立したアユカケ精子凍結条件で保存した凍結精子を用いて人工授精を行い,凍結精子の有効性を検討した.精子は凍結保存溶液(10%DMSO/FBS)で液体窒素液面から10cmの高さに固定して-50℃まで冷却後,液体窒素に浸漬し保存した.これらの凍結保存精子を同腹の卵に対して人工授精を行い,発眼率およびふ化率を測定した.2009年の凍結精子の解凍後運動率は約88%と高かったが,過熟卵率が高いと発眼率およびふ化率は低くなった.2010年の凍結保存精子の運動率は,凍結前で49.1%,解凍後は39.8%(凍結前に対する相対比は81.0%)であった.この凍結前と凍結後の精子を用いて同腹の卵と授精させたところ,いずれの精子を用いても同腹卵の発眼率およびふ化率に差はなかった.以上より,1年以上凍結保存したアユカケ精子を用いても人工授精が可能であった.また,アユカケ正型精子の凍結保存時に異型精子を添加し凍結保存しても,正型精子の解凍後運動性に影響はなかった.
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