2008 Fiscal Year Annual Research Report
単性生殖を営むシオミズツボワムシの世代間で変化する現象の解明
Project/Area Number |
20780142
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉永 龍起 Kitasato University, 海洋生命科学部, 講師 (30406912)
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Keywords | シオミズツボワムシ / 酸化ストレス / ホルミシス / cDNAサブトラクション / 餌料生物 / 種苗生産 / 単性生殖 |
Research Abstract |
シオミズツボワムシBrachionus plicatilisは, 海産仔稚魚の初期餌料生物として不可欠である. 一方, 本種の大量培養では増殖不良や大量発死の問題が残されている. シオミズツボワムシの増殖様式は, 周期的に単性生殖世代と両性生殖世代が出現する複雑なものである. 単性生殖世代は, 母虫が単性生殖によって遺伝的に同一な娘虫を産む. 一方, 世代間で遺伝的な変異は起こらないのにも関わらず, 母虫と娘虫の飢餓耐性やその他の生活史特性が異なることが分かってきた. そこで, 本課題では単性生殖世代を対象として, 世代間で表現型が変化する機構を分子レベルで明らかにすることを目的とした. 本年度に得られた成果は以下の通りである. (1)軽度の酸化ストレス処理によって, シオミズツボワムシの酸化ストレス耐性が向上することを発見した. これは, ホルミシス効果として知られる現象である. 続いて, cDNAサブトラクション法によってホルミシスを引き起こす分子機構を調べた. その結果, ペルオキシダーゼ, セリンプロテアーゼ, 未同定の転写因子などの遺伝子転写産物量の発現が増大することが分かった. (2)酸化ストレス耐性を比較するための手法を開発し, 種に特異的な酸化ストレス耐性があることを明らかにした. シオミズツボワムシ(温帯産)と, その近縁種であるB. rotundifomis(熱帯産)の酸化ストレス耐性を比較し, 熱帯種の方が酸化ストレス耐性が高いことを明らかにした. これは, もともとの生息域における代謝率の違いを反映しているものと考えられた.
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Research Products
(7 results)