2008 Fiscal Year Annual Research Report
バンドウイルカ消化管におけるアクアポリンを介した水吸収機構に関する研究
Project/Area Number |
20780143
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 美和 Nihon University, 生物資源科学部, 助手 (70409069)
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Keywords | 鯨類 / 浸透圧調節 / アクアポリン / 水分保持 / 吸収上皮細胞 |
Research Abstract |
哺乳類の小腸での水吸収機構として, 糖やNa+の吸収時に生じる濃度勾配を利用し, 管腔側の細胞膜にあるアクアポジン(AQP)を通り水が吸収されるtrans-cellularf経路と, その勾配を利用して粘膜細胞の間隙を通り水が吸収されるpara-celMar経路が想定されている.しかしAQPを介したtrans-cellular経路の重要性は疑問視されている. 我々は鯨類の餌からの水吸収にAQPが関与していると考え, 和歌山県で捕獲したバンドウイルカ小腸を用いて以下の成果を得た. 1. イルカ消化管でのAQP発現確認および全長配列の決定 : 哺乳類で知られる13種類のAQPのうち, バンドウイルカ小腸においてAQp重, 3, 4, 5, 6, 8, l1の発現を確認した. このうちAQpl, 3, 4, 11についてはmRNAの全長配列を決定し, その他については部分配列を決定した. 2. 消化管組織構造の確認とAQP発現分布細胞の特定 : 2才のバンドウイルカの腸の長さは19mあり18mが小腸であった.腸には縦走するヒダが発達し, 過去の知見に反して発達した絨毛と深い陰窩が観察された.また, 発現が認められたAQPのうち, AQP1が腸陰窩にある吸収細胞の管腔膜側に分布することを免疫染色により確認した. これは, AQP1が水吸収に関与している, すなわちイルカがtrans-cellular経路で餌から水を吸収する可能性溝高いことを示唆する.陸上哺乳類の小腸では特定のAQPが水吸収に関与するという決定的な証拠は得られていないが, 唯一, デグー(砂漠にすむげっ歯類)の大腸においてAQP1が吸収細胞の水吸収に関与するという報告がある。水を取りにくい環境にすむこれらの生物は, 腸での水吸収を最大限にするためAQPを介した経路を利用していると推測された(論文投稿中). 3. バンドウイルカAQP1の透水性の証明 : 進行中(コンストラクト作製完了).
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Research Products
(5 results)