Research Abstract |
1. まず, ティラピアの胚をモデルとして, 淡水適応時に強く発現する遺伝子2種(NCC, NHE3)と海水適応時に強く発現する遺伝子2種(CFTR, NKCCla)を同定した(Hiroi et al., 2008). これら4種の遺伝子は,淡水・海水適応に中心的な役割を果たす塩類細胞に強く発現しており, 淡水・海水適応度を判断するためのマーカーとして用いることが可能であると考えられる. 4種の中でもNCCは研究代表者が発見した新規淡水マーカーであるが, その有効性をティラピアの成魚とゼブラフィッシュでも証明することができた(Inokuchi et al., 2008 ; Wang et al., 印刷中). 2. 前述のNCCが, 真骨魚類に共通した淡水マーカーであるかを確認するために, ニジマスとアユの鯉からNCC遺伝子を単離しようと試みたが, まだ成功していない. この試みは継続するが, これらの魚種では機能的なNCCが存在せず, NHE3だけが機能的である可能性も考えられる. そこでニジマスとアユから, NHE3遺伝子を単離し, リアルタイムPCRによるmRNAの測定系の開発と特異抗体の作成を行った. NHE3の特異抗体は, 多くの魚種の共通アミノ産配列部位を抗原として作成したため, 真骨魚類全般に利用可能なユニバーサル抗体としての利用が期待できる. 次年度はこれらのツールを用いて, 各魚種における詳細なmRNA・タンパク両レベルの解析を進めることが可能である.
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