2008 Fiscal Year Annual Research Report
魚類補体成分由来の抗菌ペプチドを利用した細菌コントロール
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20780148
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Research Institution | Fukuoka Women's Junior College |
Principal Investigator |
無津呂 淳一 Fukuoka Women's Junior College, 食物栄養科, 講師 (40399100)
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Keywords | 生体防御 / 補体 / 抗菌ペプチド / 食品保存 |
Research Abstract |
これまでの申請者らの研究によって、コイやニジマスなどの多くの硬骨魚類が複数コピーの補体遺伝子をもつことが分かっている。本研究では哺乳類で明らかになった補体C3、及びC4の新機能である抗歯活性が、硬骨魚類の補体成分にも存在し、また機能的多様性を獲得しているのかどうかを明らかにし、これを魚病薬、及び食品の保存技術として応用することを目的としている。平成20年度は、コイ補体タンパク質(C3、C4、C5)由来のタンパク質(C3a、C4a、C5a)、及びこれらのアミノ酸配列を基に作成した合成ペプチドに抗菌活性が見られるかどうかを菌株としてXL1-Blue MRFを用いてRadial Diffusion Assay(RDA)により検討した。 (1) ザイモサン処理したコイ血清を用いてRDA法により抗菌活性を測定したが、抗菌作用は観察されなかった。 (2) コイ補体C3a(H1アイソタイプ)の精製タンパク質を用いて(1)と同様に抗菌活性を測定したが、1〜9μMの範囲の濃度では抗菌活性は観察されなかった。 (3) コイC3a、C4a、及びC5aのアミノ酸配列を基に、4種類、約20残基の合成ペプチドを作成し、抗菌活性を測定したところ、50μM以上の試験区においてC3-Q1、及びC4-2アイソタイプで抗菌活性が確認された。 以上の結果からコイ補体C3、及びC4にも哺乳類と同様に抗菌作用を示すアイソタイプが存在することが判明した。しかしながら、今回、通常の免疫応答で生成すると考えられる濃度では抗菌作用が確認されていないことから、これらの生理的作用については検討が必要であると考えられる。本年度はさらに抗菌ペプチドとして有用な部位を特定するとともに抗菌作用を示す菌種についても精査する。
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