2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイデータベースを利用した乳児期における魚油の新規機能解析
Project/Area Number |
20780151
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 ふみ子 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 助教 (50321980)
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Keywords | 魚油 / ω-3系脂肪酸 / ラット / 小児栄養 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本課題は、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)が乳児の生育に与える影響を、マイクロアレイデータベースの解析を通して明らかにし、魚油の新たな健康機能を証明することを目的としている。 本年度は、n-3系脂肪酸欠食で飼育した妊娠ラットの仔に、授乳期に魚油(EPAを含むn-3系長鎖不飽和脂肪酸源)または微細藻類油(EPAを含まないn-3系長鎖不飽和脂肪酸源)を経口投与し、離乳後に臓器の脂肪酸組成を測定した。母獣が妊娠・授乳期にn-3系脂肪酸欠食を摂取することで、各組織中のn-3系脂肪酸含量は低下したが、脳は他の組織より減少率が小さかった。n-3系長鎖不飽和脂肪酸の投与により、組織のn-3系脂肪酸含量は回復し、特にDHAの回復率が顕著であった。すなわち脳はn-3系脂肪酸含量が高い一方で、飼料のn-3系脂肪酸含量の変動による影響が小さかった。腎臓は飼料のn-3系脂肪酸含量の低下で、n-3系長鎖不飽和脂肪酸含量が減少するが、n-3系脂肪酸欠乏の指標であるn-6系ドコサペンタエン酸含量の増加が特に顕著で、飼料のn-3系脂肪酸欠乏の影響を受けやすい臓器である可能性が示唆された。 Gene Expression Omnibusに収載されたn-3系LC-PUFAの投与実験に関するマイクロアレイ分析結果の再解析では、Kothapalliら(2007)、Bordoniら(2007)、Bergerら(2002)のデータを精査したところ、Bordoniら(2007)とBergerら(2002)が、再解析に不適当なデータであることが明らかになった。一方、KnochB(2008)とDeVogel-van den Bosch HMら(2008)のデータが新たに収載され、現在、これらのデータを利用し、再解析を行っている。
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