2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイデータベースを利用した乳児期における魚油の新規機能解析
Project/Area Number |
20780151
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 ふみ子 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (50321980)
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Keywords | 魚油 / ω-3系脂肪酸 / ラット / 小児栄養 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本課題は、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)が乳児の生育に与える影響を、マイクロアレイデータベースの解析を通して明らかにし、魚油の新たな健康機能を証明することを目的とした。投与実験に関するマイクロアレイ分析結果の統合を検討したが、共通する遺伝子が得られなかった。これは、マイクロアレイデータのメタ解析に使用するには、データベースにおける齧歯類を用いたn-3LCPUFAに関する栄養実験のデータが少ないこと、さらに収載されている個々の実験の実験条件、特に脂質含量や脂肪酸組成が大きく異なることが原因だったと考えられる。したがって、メタ解析による新規機能の探索には条件の近いデータを収集する必要がある。 また動物実験では、魚油および植物油投与前の新生児期ラットの脳・赤血球・肝臓・心臓の脂肪酸組成について、n-3系脂肪酸欠乏食群と大豆油食群の比較を行った。この結果、新生児期では離乳期に比べ、n-3系脂肪酸の欠乏の程度が少ないことが明らかになった。したがって、母親の妊娠期のn-3系脂肪酸欠乏食の影響は胎児期や出産直後では比較的小さく、飼育期間の延長および、個体の体重の増加に伴い、徐々に欠乏状態が進行していくことが示唆された。昨年度の結果から、授乳期の魚油の摂取が有効であることが明らかになっている。よって、妊娠期にn-3系脂肪酸が十分に摂取できない場合にも、授乳期の摂取でn-3系脂肪酸の状態が回復できることが期待できるが、このときのn-3系脂肪酸源としては、リノレン酸の豊富な植物油より魚油の方が高い効果が得られると推察される。
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Research Products
(3 results)