2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780152
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木下 滋晴 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (40401179)
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Keywords | 水産学 / 発生・分化 / 遅筋 / 細胞移動 / トラフグ / 小型魚類 |
Research Abstract |
Adaxial cellに由来し、発生過程で魚体表層へと移動する遅筋で特異的に発現するトラフグのミオシン重鎖遺伝子MYH_<M5>につき、ゼブラフィッシュオーソログであるMYH7Bとの比較解析から、両遺伝子上流にある保存領域を同定し、さらにその欠損変異体の解析から、MYH_<M5>の翻訳開始点上流479b~606bの128bp中にその特異的な遺伝子発現を正に制御するcisエレメントが含まれることが明らかになった。また、移動しない遅筋、すなわちmuscle pioneerに相当すると考えられる部位で特異的に発現するメダカmMYH_<embl>を対象にin vivoレポーター解析を行った。その結果、mMYH_<embl>プロモーターが働く部位はmuscle pioneerのマーカーであるengrailedの発現部位と重なること、脊椎動物の遅筋の発生に寄与するヘッジホッグシグナル(Hh)を阻害することで、プロモーター活性が抑制されることが示され、mMYH_<embl>がmuscle pioneerで発現することが確認された。さらに、欠損変異体や点変異体を作成してプロモーター領域を絞り込み、トラフグオーソログであるMYH_<M2528-2>の上流配列と相同性を示す61bpの配列が、mMYH_<embl>のプロモーター活性に大きく寄与することを明らかにした。この61bpの領域につき、先のMYH_<M5>のプロモーター128bpとの間で共通する転写因子は検索されなかった。また、この領域に含まれる既報の転写因子の結合配列に変異を導入してもプロモーター活性は変化せず、未知のcisエレメントの存在が考えられた。 以上の結果、MYHをマーカーとすることで、移動する遅筋と移動しない遅筋を的確に区別できることが示された。また、両者の発生は共にHhシグナルに依存するものの、結果として発現するMYHは異なり、それらの転写制御機構も全く異なることが考えられた。
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