2010 Fiscal Year Annual Research Report
国際競争時代における社会的な農業経営者教育システムの再構築
Project/Area Number |
20780154
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
木下 幸雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (90323477)
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Keywords | 農業経営 / 農業教育 / 農業政策 / 人材育成 / 国際化 |
Research Abstract |
日本・韓国・オーストラリアにおけるアンケート調査や現地調査から,農業者の再教育に関する国際共通的なニーズとプログラム開発の方向性が明らかにされた. 現在,農業者は,再教育を受けたい思いがあっても,社会人として時間的制約が最大の課題となっている一方で,教育プログラムや指導者の不足を感じているなど,農業者の再教育システムの不十分さといった課題がある.農業者向けの再教育ニーズについて最も高いと考えられるものは,農産加工による製品開発と販売といったマーケティングに関わる教育内容であるといえる.特に製品企画と販売促進といった実際に役立つ科目に対するニーズは高い.経営分野に関わる教育内容に対する再教育ニーズも高いことが明らかとなった,特に,経営者論といった経営者としてのマインドや感覚の刺激となる科目や,経営管理としては会計・財務管理に関わる科目に対するニーズは高い. それらとは対照的に,農業生産技術に関わる教育内容に対する農業者のニーズはそれほど高くはない.したがって,農業者の教育ニーズは旧来的な農業生産を中心としたものではなく,経営者としてマーケティングや財務管理をどのように行っていくかという高度なニーズに変化してきていると見てよい.農業従事年数が長いほど全般的に再教育ニーズも高まる傾向が見られ,経験を積むことで経営上の課題がはっきりし,その解決のために何を学ばなければならないかが分かるのであろう. 時代に即した農業者向けの再教育システムをデザインするにあたっては,経営者として意識と戦略を持って,経営管理,特に財務のマネジメントに関わる知識と実務ができるような科目を基盤的な教育内容として,その上で,マーケットインに基づく生産・販売が実際にできるような科目を応用的な教育内容として,教育プログラムや講師などを検討することが有効であると考えられる.
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