Research Abstract |
グローバル化の進展, 経済摩擦問題への対応により, 日本人海外旅行者数は飛躍的に増大している. しかし, 一方で, 訪日外国人旅行者数は伸び悩んでおり, アウトバウンド数とインバウンド数の格差が拡大している. わが国では, 国家政策として観光立国に向けた取り組みを強化しており, 外国人旅行者受け入れ態勢の整備に着手しているところである. その一つの取り組みとして, 文化観光の推進を提唱しており, 訪日外国人旅行者が, 日本の歴史・伝統文化に触れ, 日本に対する理解を深められるような観光地づくりが進められている. 農村ツーリズムは, このような文化観光の舞台として, 重要な役割を果たすものと思われる. 「インバウンド対応型農村ツーリズム」の推進が求められている. 本研究では, インバウンド対応型農村ツーリズムの発展条件を明らかにすることを目的としている. 分析課題は, (1)訪日外国人観光客の農村ツーリズムへの需要に関する分析, (2)インバウンド対応型農村ツーリズムの成立条件の分析の二つである. 課題(1)では, 外国人観光客の農村の多面的機能への評価分析, 外国人客の観光行動分析を行なう. 課題(2)では, インバウンド対応型農村ツーリズム経営体の経営条件の解明, インバウンド対応型農村ツーリズム経営体の地域経済へのインパクト評価を行なう. 本年度は, インバウンド対応型農村ツーリズムの議論が未整理のため, その具体的な検討課題について明確にして, その内容と特徴について整理した. 次に, その整理に基づき, 観光経済学, 環境経済学, 社会心理学の分析ツールを導入して, 外国人観光客の需要構造の把握, 農村ツーリズムの成立条件の解明に必要な分析フレームワークについて検討を行なった.
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