2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780159
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
内山 智裕 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (80378322)
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Keywords | 農業参入 / 企業参入 / 食品卸売業 / 経営請負 / 先進国農業 / ファームマネジャー / 生産契約 |
Research Abstract |
研究最終年度にあたる本年度は,これまでの研究成果のとりまとめと補足調査を中心に,(1)企業の農業参入をめぐる政策に対する提言,(2)既存の農業経営による企業的な発展可能性に関する理論的基礎の提供,を行うことを目的として,国内の農業参入事例の分析及び英国における企業と農業の関連に関する実態調査を実施した。 その研究成果は,企業の農業参入の論理と課題として整理した。すなわち,企業の農業参入は,(1)当該品目の希少性(自分たちが作らなければ手に入らない恐れ),(2)調達できないときの損失(食品工場の稼働率の低下など),(3)調達先多様化のメリット(外部の取引先に対する予防線),(4)全社的な収益向上(ブランドイメージの向上や新たなビジネス獲得),(5)自社遊休資源の有効活用(機械・労働力や堆肥など)の5つの論理から説明できること、また,課題としては,本業が別にある企業にとっての農業は「副業」としての位置づけにとどまるケースが多いことから,企業の農業参入によって生産過程に革新が見られるわけではなく,結果として地域農業の活性化というよりも地域農業(および日本の農業)が持つ「生産の効率化が難しい」という問題点を浮き彫りにするものであることを明らかにした。また,今後の展望として,農地取得による生産進出というよりも,既存の農業法人への出資や,提携・契約等による参入が増えていくことが予想されること,その際に,特に出資についてはROEの低さが問題となることを示した。
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Research Products
(5 results)