2009 Fiscal Year Annual Research Report
ズワイガニの「世界市場」の分析 -日本は「買い負け」しているのか?-
Project/Area Number |
20780165
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
東村 玲子 Fukui Prefectural University, 海洋生物資源学部, 講師 (30363881)
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Keywords | フードシステム / 貿易 / 農林水産物 / 農業経済学 / 水産学 / ズワイガニ / カナダ / アラスカ |
Research Abstract |
2008年9月にはカナダ・Qebec州及びNewfoundland and Labrador州にてズワイガニ加工業者と州政府及び連邦政府に対しズワイガニ漁業・加工業の管理及び実態について聞き取り調査と資料収集を行った。また2009年2月には中華人民共和国・煙台市にてズワイガニのセクションからミートへの再加工場を視察し,当該工場を所有する中国の加工企業とそれと取引関係にある日本の水産会社の駐在所に聞き取り調査を行った。 カナダの貿易相手国が日本から米国へとシフトしたのは,単純に日本が米国よりも高い価格で買い取り出来なくなったからではない。Quebec州のズワイガニは日本向け・米国向け共にセクション・凍結の形態で流通する。Quebec州の加工業者によれば,日本へのズワイガニ加工品は米国に比べて色,足の本数及び凍結方法に関してより厳しい品質のものが求められる。このため,歩留まり率に差異が生じ日本向けは58%,米国は65%以上となる。この差異を埋めるだけの価格を日本が提示出来なくなったことが,輸出先が米国にシフトした主な要因である。「買い負け」現象と言っても同じ商品で「負け」ている訳ではないことが明らかになったことに本調査の重大な意味がある。 中国での再加工は近年中国の加工貿易が食料分野でも伸張している一例と位置づけられる。それは,非常に厳しい衛生基準と品質管理の下で行われているが,日本の主導により行われていることが明らかになり,ズワイガニの「世界市場」において日本の地位が現在でも維持されている一つの証左となった。
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Research Products
(5 results)