2009 Fiscal Year Annual Research Report
流通再編下における冷凍野菜開発輸入業者の企業行動に関する研究
Project/Area Number |
20780167
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
菊地 昌弥 Tokyo University of Agriculture, 国際食料情報学部, 助教 (30445689)
|
Keywords | 農業経済学 / マーケティング / 農産物流通 / 開発輸入業者 / 輸入冷凍野菜 / 流通再編 / 企業行動 / 卸売業者 |
Research Abstract |
本年度は、食品卸売業者の今日的動向が冷凍野菜開発輸入業者に与える影響について考察を加えることを目的とした。これにあたり冷凍食品等の加工食品をメインに取り扱う市場外流通の業務用食品卸売業者(横浜市の野口食品,年間売上約80億)の仕入コスト削減への対応と課題を解明することを試みた。 業界資料の整理及び事例企業への実態調査を通し、以下の点が明らかになった。 第1に、業界の市場規模が低迷し競争が激化するなか、事例企業はスケールメリットの発揮による仕入コストの削減を主たる目的として、同等規模の独立系の卸売会社と共同仕入会社を設立するという対策を講じていた。この対策は、設立以前と比較して仕入コストを平均して1割低下させることに成功している。注目すべきは、(1)メリット(コスト削減)を発揮しやすい、(2)倉庫や配送車等の設備を持たず、入札の実施や取扱商品の発注を行うだけであるため、設立にそれほど資金を必要としないので摸倣化しやすいといった要因から、このような組織が業界において複数存在していることである。それゆえ、同取り組みによるコスト削減の波が特定の冷凍野菜開発輸入業者だけに関係しているわけではなく、すべての企業に迫っていると考えられる。 第2に、とはいえ、このような卸売業者のコスト削減の対策は、類似した共同仕入組織が林立していること、業界の規模縮小に伴う商圏のバッティングが発生していること、リベートの存在により、特定の共同仕入組織に傾斜するかたちではこのような対策は進んでいない。したがって、各共同仕入組織においてこれ以上のスケールメリットを発揮することが困難となっている。 こうしたことから、卸売業者の上記の企業行動は、冷凍野菜開発輸入業者にとってコスト削減の圧力は一定程度かかるものの、共同仕入組織が統合するなどのかたちでさらに大規模にならない限り、これ以上のコスト削減の圧力はかからないと考えられる。
|