2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域循環型生物資源利用システムにおける物質フローからみた持続可能性評価手法の開発
Project/Area Number |
20780169
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
原科 幸爾 Iwate University, 農学部, 講師 (40396411)
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Keywords | バイオマス / 循環型社会 / 窒素フロー |
Research Abstract |
本年度は,とくに木質バイオマスの利用に焦点をあて,利用可能性の評価と利用推進のボトルネックとなっている収穫・輸送コストの評価を行なった。まず,木質バイオマスの賦存量評価を行なうとともに,針葉樹に関しては間伐材,林地残材を,広葉樹に関しては全木をエネルギー利用するものとしてそのポテンシャル評価と行った。その結果,対象とした木質バイオマス全てを用いて発電を行った場合,遠野市の電力使用料の約27%の発電量がえられることがわかった。つぎにバイオマスプラント(製材・発電所)の配置について,4つのシナリオを設定し,それぞれについて,GISと経験式を用いた収穫・輸送コストの評価を行なった。4つのシナリオとは、既存のプラント3箇所を配置した「現況型」、遠野市の重心に1箇所配置した「集中型」、市内旧町村のそれぞれの重心に11箇所配置した「分散型」、100km2以上の流域を基準として、それぞれの重心に7箇所配置した「流域型」である。その結果,コストは10,065~10,827円/tDMであり,「分散型」,「流域型」,「現況型」,「集中型」の順にコストが安いが,その差は1割未満程度であることがわかった。算出された木質バイオマスの収集・輸送コストが安い林班から順に資源量を積み上げていくことにより、木質バイオマス資源量と収集・輸送コストの関係を調べたところ,伐採範囲よりも材の種類によってコストが大きく異なり,林地残材,広葉樹,間伐材の順にコストが安かった。既往の報告より,木質エネルギー利用したときの採算の取れるボーダーとして5400円/tDMを仮定すると,その範囲内で利用できる木質バイオマスによる発電量は,電力使用量の1.7%に過ぎないことがわかった。
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