2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780171
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 清仁 岩手大学, 農学部, 准教授 (60362430)
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Keywords | コンクリート / モルタル / 維持管理 / 非破壊検査 / 弾性波 / 劣化 / 損傷力学 / アコースティック・エミッション |
Research Abstract |
本年度は打撃音波形特性によるコンクリートの劣化指標の検討および力学特性の把握を行った。水セメント比50%の健全供試体と、それを1規定の水酸化ナトリウム溶液に浸漬させた劣化供試体を用意し、圧縮強度試験を行った。また、表面乾燥飽水状態の供試体を用い、反射法と透過法の2種類の打音試験を行った。打撃は市販の金属ハンマーを使用し、打撃点より5cm上から重力のみで落下させた。放射音をマイクで計測し、コンクリートを伝わる弾性波を加速度センサで計測した。試験結果より平均周波数、卓越周波数、スペクトログラム(ランニングスペクトル)を求めた。 その結果、平均圧縮強度は健全供試体で47.9N/mm^2、劣化供試体で44.3N/mm^2であり、8%程度の強度減少が認められた。マイク計測による反射法の打音試験結果において、健全供試体の平均周波数は2228Hz、劣化供試体の平均周波数は2182Hzであり、健全供試体の卓越周波数は2305Hz、劣化供試体の卓越周波数は2160Hzであった。この劣化による平均周波数と卓越周波数の減少は、加速度センサの計測結果においても同様な傾向であった。また、スペクトログラムの違いを見ると劣化供試体の時間毎のパワースペクトルの分布は不均一であり、劣化供試体の弾性波には広い帯域の周波数成分が含まれている。これらのことは、アルカリシリカ反応によってコンクリート内部に微細なき裂が生じ、弾性波の散乱や迂回が発生したことが原因と考えられる。以上の結果から、反射法により平均周波数、卓越周波数およびスペクトログラムを求めることで、コンクリート内部の微細なき裂が原因である劣化について、評価することが可能であると考えられる。
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