2008 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯の離島における農業活動が地下水・ため池の水質環境に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
20780179
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
吉永 育生 National Agricultural Research Organization, 九州沖縄農業研究センター・南西諸島農業研究チーム, 主任研究員 (50414420)
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Keywords | 水質汚濁 / 水環境 |
Research Abstract |
伊江島において17箇所のため池と地下水(観測井が約20箇所)の水質環境にかかる現地観測を開始した。定期的な観測の結果,ほとんどのため池において,冬季の一時期を除いて藍藻の過剰な増殖が確認された。栄養塩類濃度は,全ため池の平均値で,T-Nで1.4〜2.2mg・L^<-1>, T-Pで0.06〜0.16mg・L^<-1>であり,夏季に濃度が低下する傾向が見られた。ため池貯留水の起源は舗装面に降った降雨が大半であり,比較的濃度が低い。しかし,これに加えて集水域内の家庭雑排水や畜産排水が混入するため,ため池の栄養塩濃度が高くなることが明らかになった。また,重点的な調査を実施するため池を選定し,水収支にかかるデータである,水深と流入水量およびポンプの使用水量の連続観測を実施した。その他に,9箇所のため池の集水域を現地踏査により明らかにした。地下水については,NO_3-N濃度は平均すると約8mg・L^<-1>であったが,集水域の上流から中流の複数の観測井にて,飲料水の基準値の10mg・L^<-1>を超える高い濃度が確認された。個別の観測井は,季節変動の小さい箇所が大半であった。その一方で,観測井ごとの値の差は大きく,約200m程度の距離であっても4〜7mg・L^<-1>の差が生じることがあった。観測井近傍の農地が地下水の水質環境に与える影響を把握するために,地下水集水域にて約200箇所の畑地の土地利用調査を実施し,畑地面積,作付や投入施肥量等の基礎資料の収集・整理を実施した。現地観測等で得られた知見を学会等(国内2件,国際会議1件)にて報告した。
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