Research Abstract |
伊江島内の主要なため池における栄養塩類濃度は,平均値でT-Nで1.3~2.5mgL^<-1>,T-Pで0.06~0.19mgL^<-1>と富栄養状態を呈しており,H20度同様の季節変動が確認された。これらのため池の集水域を明らかにし,主たる栄養塩排出源を特定した。その結果,6箇所においては生活排水が,4箇所においては畜産排水が,主たる負荷源であることが明らかになった。また,唐小堀ため池において実施した水位,水利用の連続観測結果と気象データを使って,水・負荷収支にかかるモデル計算を実施した。水収支については,高い再現性が得られた。しかし,負荷収支については集水域からの負荷の発生過程をLQ型モデル,堆積流送モデルのいずれで再現しても,実測値と一致しなかった。この要因として,畜舎から排出される栄養塩が不定期に流出していることが考えられる。 地下水については,観測地点と観測深度を追加することで,地下ダム集水域内のNO_3-N濃度の空間分布の精度向上を図った。2009年の7月から9月の降水量が200mm弱と非常に少なかったが,地下水のNO_3-N濃度は1箇所の観測井を除いて大きな変動は見られず,H20年度同様に平均で約8mgL^<-1>であった。地下ダム集水域の負荷発生にかかるデータの精度向上を図り,集水域内での発生負荷量は年間33tと算定した。また,降雨の地下への浸透割合等から,発生負荷の約30%が地下に流亡していると考えられた。これらの現地観測等で得られた知見を伊江村における現地研究発表会にて報告するとともに,専門誌や学会(国内1件,国際会議1件)にて報告した。
|