2008 Fiscal Year Annual Research Report
青色光照射による硝酸還元酵素の活性化は葉菜類の硝酸含量を低減させるか?
Project/Area Number |
20780180
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兼子 敬子 (大橋 敬子) The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50332599)
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Keywords | 青色光 / 発光ダイオード / 硝酸 / ホウレンソウ / レタス / 品質 |
Research Abstract |
本年度は, 青色光照射は硝酸還元酵素活性を高めるのか確認を行った. ホウレンソウをグロースチャンバ内にて湛水式水耕栽培で育成し, 播種後5週目に短期間の青色光照射処理を行った. 総PPFDを150μmol m^-2s^-1一定の下, 青および赤色LEDを用いて, 1)青色光0%(赤色100%)区, 2)青色10%区, 3)青色20%区, 4)青色30%区, 5)青色100%区そして6)白色蛍光灯(コントロール)の5つの処理区を設定した. 葉のNADH依存性硝酸還元酵素(以後, NADH-NR)活性とその活性化率, 木部出液中の硝酸濃度について日変化を通して測定した. 次に, 上述の青色光処理条件を測定光条件として, 1大気CO_2分圧下の光合成速度, 気孔コンダクタンス, 蒸散速度および葉内CO_2、分圧を測定した. 青色光が10%以下の区では, NADH-NR活性は暗所下の活性値と同程度に低かった. 青色光20%区以上では青色光が増すほどNADH-NR活性は向上し, 青色光100%区の活性値はコントロールと同程度であった. 活性化率も同じ傾向を示した. 他方, 青色光割合が増すにつれて光合成速度は低下した. 気孔コンダクタンスおよび蒸散速度は青色光割合によらずほぼ一定の値を示した. これらの結果は, 赤色LEDで野菜を育成した場合において短期的な青色光照射を行えば, 硝酸還元酵素活性の向上により植物体内の硝酸が消費され, 植物体内の硝酸濃度が低減する可能性を示唆している. 青色光20%区における木部出液中の硝酸濃度は青色光0%区よりも高く白色区と同程度の値を示した. 葉の蒸散速度は青色光割合により変化しないので, 根に局在する硝酸トランスポータによる硝酸取り込みが増大したことも考えられる. このことは, 体内の硝酸濃度の低減化を相殺する現象であるため, 次年度は今回の照射条件下において葉身と葉柄の硝酸濃度を測定する予定である.
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Research Products
(1 results)